●日本の現代アート(美術・映画・アニメ&マンガ・ダンス・現代演劇)を知るためのサイト

【美術】日本の現代美術を総括的に英語で紹介しているサイトは見あたらない。英語の美術館リンクからそれぞれの美術館に飛んで英語のサイト(あればだが)を眺めたり、 アーティスト名がわかっていれば英語の一般的な美術関係サイトから検索して個人ホームページを眺めるか、 あるいは展覧会・アーティスト情報を断片的に英語で発信しているサイトを訪れることになる。
◎日本の美術館へのリンクは村井直也氏による膨大なリンク集サイトを紹介しておこう。国宝の鳳凰がトップ・ページを飾る「5000 Museum Links」からEnglishのページへ。世界中の7000もの美術館へリンクがはられ、日本では1500館が網羅されている。最近、更新がないようなのが惜しい。 このほかに、「artscape」内にも英語の美術館名によるリンク集がある。ここは200館あまり。最終更新は2004年である。
◎もし、興味のあるアーティスト名がわかるのなら、オランダで運営されているサイト「the-artists.org」へ。 トップページからアルファベットをクリックすると各アーティスト名がアルファベット順に並んでいて、容易に見つけることができる。 村上隆 草間彌生といったレベルのアーティストがのっており、それぞれのアーティストの関連情報へのリンクも充実している。もうひとつ、こちらはどちらかというと業界向けのサイトだが「artnet」のartistsのコーナーでも同様のリサーチができる。artnetではアーティストの作品画像と年譜が出てくる。同じ 村上隆草間彌生で違いを見てみよう。 どうしても日本人のアーティスト名だけが並んでいるリストを見たいというなら、Wikipediaの「Japanese Artists」のコーナーということになるが、あまり充実していない。◎英語で東京のアート・シーン情報を発信しているほぼ唯一といってよいサイトが「 TOKYO ART BEAT」だ。2004年に発足したNPO組織によるサイトで関東地区の約500会場でのアート・イベント情報が網羅されている。◎そのほかに、英語によるアート情報源は英字新聞のサイト。「Japan Times」ではまず、 「 エンターテインメント」コーナーのトップページへ。年末にはことしのアート十大ニュースの特集(The year in art)もあったりする。それからその下の「アート」に行くとよい。展覧会評などが並んでいる。以前の記事をキーワードで検索することもできるがそれにはe-mailなどの登録が必要(無料)だ。「朝日新聞」にも同様のコーナーがあるが、ここは「アート&エンターテインメント」となっていて文化芸能関係の記事がごちゃまぜ。キーワード検索は右上の窓からできるが最近の記事しか出てこない。「デイリー読売」は、特集(Features)の枠内で「カルチャー」と「ウィークエンドアート」に分かれている。
◎日本語では、印刷会社の大日本印刷が運営する「アートスケープ」が充実している。展覧会情報やアートレポートは、ある程度の長さの記事を学芸員や評論家が執筆。アートリンク集はさまざまなジャンルに分かれ、各サイトについての簡単な説明が添えられている。また、現代美術用語集デジタルアーカイブ用語集は、美術のキーワードを勉強したい人には役立ちそう。 ◎もうひとつ、上で英語ページを紹介した「東京アートビート」の日本語バージョンは展覧会情報が中心だが、最も人気のものをRSSで配信したり、人気のバロメーターとしてコメントの数を表示したりと、単なる情報発信ではなくWebならではのインタラクティブな工夫がこらされている。 ◎同じくRSSを採用しているのが通信企業のNTTコミュニケーションズによる「アートジェーン」(artgene)だ。アートとデザインの両分野にわたって、バランスのとれた豊富な情報を提供。Art&Designニュースでは国内外の文化関連ニュースが短信形式でまとめられている。展覧会情報、オリジナルコラムはヴィジュアル素材が織り込まれて目で見る工夫がされているほか、ブログに対応してトラックバックがつけられるようになっている。また、現代美術用語辞典には600語余の解説が収録されている。 ◎美術作品の検索サイトとしては、文化庁の国指定文化財等データベース、独立行政法人国立美術館の所蔵作品総合目録検索システム、文化庁と総務庁による「文化遺産オンライン」がある。

【映画】
日本映画全般については、英語による書物が多く出版されている 。ウェブで便利なのは、最新作の情報を得たり、作品名から検索できたりするところだ。◎サイト上では、無声映画にはじまり黒澤明を経て北野武にいたる日本映画史の概観を英語のWikipediaの「Cinema of Japan」で読むことができる。 ◎「Midnight Eye」は、「The Midnight Eye Guide to New Japanese Film」(Stone Bridge Press)の著者、Tom Mes氏とJasper Sharp氏が2001年にスタートさせた非営利サイト。200本を超える映画評あり、北野武のインタビューあり、このほど幽界に帰した丹波哲郎へのオマージュあり、AV監督のカンパニー松尾の特集あり、というとてつもないサイト。「The Latest and Best in Japanese Cinema」のサブタイトルもはったりではない。◎日本映画の作品のタイトル検索は、世界中の映画・テレビ番組90万本以上を目録化したデータベース「IMDb(Internet Movie Database)」で。日本語による作品は約12,000タイトルが収容されている。 ◎財団法人日本映画国際振興協会(ユニジャパン)の英語サイトでは、2002年よりの日本映画作品がリストになっている。また、映画封切り本数などの統計、海外の於ける日本映画振興の資料や、日本の映画プロダクションなどのリンク集も役立ちそうだ。 ◎英字新聞のサイトで「映画」がコーナーとして独立しているのは「Japan Times」のみ。レビューが中心で、洋画と邦画が同居している。ある程度過去の記事を閲覧するにはメールアドレスなどの登録が必要。年末にはことしの映画十大ニュースの特集(The Film sof the year)もある。
◎日本語による映画作品・人名の検索は収録数約34,000本の非営利サイト「日本映画データベース」で。制作年、監督などの基本データと、詳細なスタッフ・キャストのリストが出てくる。「日本最大の映画データベース」をうたっている「キネマ旬報全映画作品データベース」では、解説、ストーリーといった内容に関するコメントも掲載。1945年以降の国内公開作品が邦画洋画あわせて約35,000タイトル網羅されていて、角川書店のサイトWalkerplusの1部門、「MovieWalker」の中にある。もうひとつ使い勝手のよい映画データベースは「allcinema online」。6万本以上の映画が登録されている。それぞれの作品にユーザーがコメントをつけられるようになっていて、プロの評論家とはまた違った一般の人のフランクな感想が興味深い。 ◎国内外の映画祭についての情報・検索は「国際映画祭への扉」で。製作者団体、配給会社など各種団体のサイトへのリンクもある。また、「東京国際映画祭」のサイトにも、各映画祭へのリンク集がある。 ◎テレビでも活躍している芸能タレントのプロフィールはスポーツ専門紙「スポニチ」の「スポニチ Sponichi Annex 芸能タレント名鑑」で探すことができる。またgooニュースの「タレント一覧」にも顔写真つきのリストがある。 ◎日本語での映画界の最新情報は「Yahoo!ニュース-映画」で。また、映画専門誌「FLIX」のサイト「シネマトゥデイ」にも最新作の情報や出演者インタビューなどが掲載されている。
◎フランス語による日本映画のサイト「Cineasie」。

【アニメ・マンガ】
マンガあるいはそこから発生したオタク文化の全般をサイトでたどるのは難しい。ここでは概観と英語の情報サイトのほかは、ディレクトリ集をあげておこう。 ◎概観は、英語のWikipediaの「Anime」と「Manga」のサイトで。 ◎アニメとマンガの最新情報を英語で得るなら「ANN(Anime News Network)」。1998年にJustin Sevakis氏が創設したサイトで、膨大な量の記事がストックされていて、過去の記事の検索も可能。「encyclopedia」のコーナーには、アニメ・マンガの作品タイトル、人名録、制作会社リスト、用語集などがあって充実。たとえば林原めぐみの血液型や結婚した日までのっている。 ◎Googleの英語のディレクトリ集「Anime」と「Manga」。 ◎英語バージョンがあるマンガ作家のサイトもある。代表的なものとして、「手塚治虫ワールド」。 ◎米国オハイオ大学図書館の東アジア電子文庫にある日本のマンガ図書館のリスト。 ◎マンガ専門の古書店「まんだらけ」のサイト。英語、スペイン語のページもある。本店は東京・中野。「まんだらけにないものは、ない」とまでいわれているオタクの聖地。 ◎日本語のWikipediaの「アニメ」と「マンガ」のサイト。 ◎日本語のYahoo!の「コミックとアニメーション」カテゴリのリンク集。 ◎日本語でのアニメ・マンガ界の最新情報は「Yahoo!ニュース-漫画、アニメーション」で。
◎フランス語のWikipediaの「Anime」サイト。 ◎「AnimeLand」。1991年創刊のフランス語の日本アニメ専門誌。 ◎フランス語によるDomoz-Open Directry Projectの「Mangas」関係のディレクトリー集。

【ダンス・舞踏】
◎まず、20世紀の初頭にはじまり、第二次世界大戦を経て舞踏の出現、そしてポスト舞踏へという日本のダンスの歩みを英語で解説した文章「Modern and cotemprary dance」。これは舞踊評論家の国吉和子の執筆になるもので、国際文化交流を推進している英国の団体「Visiting Arts」のWelcome to the Japan Cultural ProfileCulture in JapanPerforming artsのコーナーの一。このサイトは他の分野についても充実した解説がある。 ◎舞踏に関しては、まずWikipediaの「Butoh」の項へ。舞踏の歴史、発展、国際化についてのコンパクトな記述があり、下部の英語サイトのリンク集が充実している。この中にはYouTubeにアップされた舞踏の映像へのリンクのほか、海外で活動を行っているアーティストなどへのリンクがある。Domoz-Open Directry Projectの「Butoh」にも同様にアーティストなどへのリンクが掲載されている。 ◎100歳を越えて踊り続ける舞踏家、大野一雄についてはWikipediaにも独立した項がある。公式サイト「大野一雄舞踏研究所」の英語ページを一度は訪れてみよう。 ◎国際交流基金による「Performing Arts Network Japan」には、ダンスのみならず舞台芸術のアーティストのインタビューが掲載されていてバックナンバーも読むことができる。また、アーティスト・データベースも便利。このページでArtistListを選択してSearchボタンを押すと約100名のリストが出てくる。 ◎ダンスの団体組織で英語ページがあるのは「現代舞踊協会」のみ。 ◎日本の民俗舞踊の一である盆踊りについては「Bon Dance」というサイトがあり、阿波踊りの音楽を聞いたり、郡上おどりなどの盆踊りの映像の映像を見たりすることができる。 ◎京都に本拠を置くダンスのNPO団体「JCDN(Japan Contemporary Dance Network)」。英語ページは貧弱。ダンス公演の情報など。 ◎ダンスなどの舞台芸術活動の助成をしている組織のサイトをふたつ。キリンビールはモダンダンスの支援に力を入れており「キリンダンスネットワーク」「キリンダンスサポート」などのコーナーがある。セゾン文化財団(The Saison foundation)は堤清二氏の私財によって設立された助成型財団。過去の事業検索の項に飛び、たとえば「舞踊」にチェックを入れて検索すると助成したアーティストに関する報告書が出てくる(ただし2005年年度以降のもののみ)。リンクの項には芸術支援団体などへのリンクがある。◎ダンスの団体組織は上に記した「現代舞踊協会」のほか「日本舞踊協会」「日本バレエ協会」。この3団体が所属する「全日本舞踊連合」のサイトもあり、ここのリンク集「舞踊Navigator」には各地の舞踊団体やマスコミ、ホールなどへのリンクがある。

【現代演劇】
◎ダンスと同じくVisiting Artsに掲載されている曽田修司氏による1960年代から現代までの日本の演劇の概観記事がまとまっている。また、十分な解説ではないが、Wikipediaの「Theater of Japan」の後半部で、小劇場演劇などについて触れられている。
◎ダンスと同じく国際交流基金による「Performing Arts Network Japan」には、舞台芸術のアーティストのインタビューが掲載されていてバックナンバーも読むことができる。また、アーティスト・データベースも便利。約100名が収録されている。◎Japan Timesの > Entertainment > Performing Artsのページの下方には英語による劇評などパフォーミング・アーツのレビューが掲載されている。
◎日本語ならばWikipediaには多くの情報がある。これはWikipedeiaの使い方に属することだが、Wikipedeiaのサイトにはいくつかのレベルがある。普通のページは百科事典でのひとつひとつの項目にあたり、演劇でいえば劇作家とか演出家というページがあり、ここで名前のリストを眺めることができさらにそれぞれの人物のページに飛ぶことができる。その上のレベルが「カテゴリー」に属するもので、たとえば「Category:演劇」には演劇に関するさまざまな項目が収容されている。これとは別に「演劇」という演劇自体について解説したページも存在する。さらに発展途上のものについては「ポータル」というレベルが用意されていて、たとえば「Portal:舞台芸術」では、さまざまなカテゴリーとページをどのように構成していくかの見取り図が示されている。◎演劇関係の情報で詳しいのはやはり専門サイト。雑誌も出している「 シアターガイド」(ここは上演されている作品の時間がわかるのが便利)、演劇ポータルサイトをうたいデータベースにも力を入れている「 シアタープラネッツ」、同じくデータの整理・掲載に力を入れている「シアターリーグ」(ここに1万7000人を超す俳優・女優名鑑がある)などだ。◎テレビでも活躍している芸能タレントのプロフィールはスポーツ専門紙「スポニチ」の「スポニチ Sponichi Annex 芸能タレント名鑑」で探すことができる。またgooニュースの「タレント一覧」にも顔写真つきのリストがある。◎「小劇場演劇の総合情報サイト」がキャッチフレーズの「えんげきのページ」にはリンクの殿堂(Hall of Fame)と称し管理人のにしかどなおき氏が頻繁に訪問するというサイトBest50が紹介されている。◎Yahoo!ニュースの「エンターテインメントトピックス[舞台、演劇]」のコーナーでは、一般紙、スポーツ紙、通信社などの舞台関連のニュースがピックアップされている。